ABOUT

PROFILE

桐朋学園大学音楽学部研究科声楽専攻修了

二期会オペラ研修所修了

第12回レ・スプレンデル音楽コンクール第3位

第10回長江杯国際音楽コンクール第3位

仙台バッハアカデミーマスタークラスにて、バーゼル音大教授クルト・ヴィトマー氏より「神から与えられた声」と評される。

中・高等学校教員免許

ライアー響会会員、ライアー教師のコース第3期修了

日本ムーブメント教育療法指導会員

LEIER

竪琴の起源は古代ギリシャ、メソポタミアの時代にまでさかのぼります。

旧約聖書の中では“リラ”という名前で記され、神聖な儀式などに用いられました。しかし、文明の発展により、芸術文化の中での存在が次第に薄れていきます。

1900年代になり、治療教育の中でピアノに替わるふさわしい楽器の開発が求められました。感覚が敏感なこどもたちにとって、現代の楽器の音は刺激が強すぎたのです。

そこで、1926年、ドイツの哲学者ルドルフ・シュタイナーの思想に基づき、新たに誕生したのがライアー( 独Leier、英Lyre)です。

ライアーの静かな澄みきった音色は、現代の私たちにとっても、からだに伝わり、こころの奥底にまで届く力と可能性を持っています。

HISTORY

ライアーとの出逢い

2009年の冬の夜。自宅のピアノでクリスマスキャロルを弾いていた時、ふと「この曲には“ライアー”が合う」。そう感じたことがライアーを知るきっかけとなりました。それから夢中になってライアーのことを調べていくうちに、その生まれた背景や意味に触れ、次第に心惹かれるようになっていきました。

2010年春からライアーサークルのグループレッスンに参加し、初めて自分のライアーと巡り会うことになりました。

ライアーとのつながり

ライアーに惹かれた背景とは、治療教育の中から生まれたということです。当時のわたしは、自宅でピアノ教室と併行し、リトミックの指導もしていました。しかし、音楽教育を主体とするリトミックではなく、もっと根本的な人の内面や成長に関する教育アプローチを学びたいと勉強を始めました。その時に出会ったのが、ムーブメント教育です。音楽ムーブメント教室のアシスタントとして、カルチャーや療育センターで出逢ったこどもたちや家族の姿が心に残りました。障害を抱えながらも音楽を全身全霊で感じ、輝いている彼らの姿に、ライアーとの繋がりを感じたのです。

ライアーは「暗闇を照らす月の光」

主宰する音楽教室も多くの生徒さんに恵まれ、順風満帆。コンクールに入賞し、本格的に声楽家としての活動を始めようとした矢先、持病であった顎関節症が進行。迷いながらも、諦めざるをえませんでした。

一方で、結婚を機に自宅の音楽教室を閉めることになり、障害児施設で勤務することになります。始めはやりがいも感じていましたが、音楽とは無縁の世界。次第に、わたしの心は枯渇していきました。

新居にはピアノを置くことはできませんでした。唯一、手元に持って来ていたのが、ずっと“趣味”と思い込んでいたライアー。ライアーのささやかな寄り添うのような音色は、わたしの心の中で泉が湧き出るように染み込み、枯れた草花が息吹をよみがえらせるように広がっていきました。

ライアーはどんな時にも、決して自己主張をするわけでもなく、ただわたしの傍に在り続けてくれていたのです。それは、暗闇の中を俯きながら彷徨っているわたしに、そっと天から見守り、雲の中に姿を隠してもいつも寄り添い、優しい光を降り注いで、行くべき道をさし示す月明かりのような存在でした。

ライアーに感じる無限の可能性

ライアーによってもう一度音楽の道へと戻ることのできた時、きちんとライアーを学びたいと思い、2014年からレッスンに通い始め、2015年よりソロ活動を始めます。

ライアーはシュタイナー教育の中でずっと守り続けられてきた楽器です。しかし、わたしはライアーには、芸術としての音楽を奏でられるだけの力を感じます。癒しだけではなく、数百年と受け継がれてきた芸術音楽に値するポテンシャルを秘めています。音楽を専門に学ばれている方にとっても、演奏する際の身体の使い方やテクニックの中で、課題になりやすいポイントを解決するための糸口になれると実感しています。ライアーが特別なものではなく、音楽を聴くとき、学ぶときに、当たり前の存在になっていってほしいと願っています。